
「テレビを買い替えたけど、どのケーブルを使えばいいんだろう?」 「お店に並んでいる同軸ケーブル、S-5C-FBとか書いてあるけど暗号みたいで意味がわからない…」
テレビの配線で使う同軸ケーブルですが、種類が多くてどれを選べば良いか迷ってしまいますよね。実は、ケーブルに書かれている記号にはすべて意味があり、それを理解すればご自宅の環境に最適な一本を簡単に見つけられます。
この記事では、テレビの視聴に欠かせない同軸ケーブルの種類と、その見分け方を専門家が分かりやすく解説します。地デジ・BS/CS放送はもちろん、4K8K放送を見たいと考えている方も必見です。
この記事を読めば、もうケーブル選びで迷うことはありません。ご自身の視聴環境にぴったりの同軸ケーブルを見つけて、快適なテレビライフを送りましょう。
目次
一目でわかる同軸ケーブルの種類比較表
まずは、主要な同軸ケーブルの種類と特徴をまとめた比較表をご覧ください。ご自身の環境に合うケーブルがどれか、大まかな当たりをつけましょう。
項目 | S-5C-FB | S-4C-FB | 2Vシリーズ (例: 5C-2V) |
---|---|---|---|
対応放送 | 地デジ・BS/CS・4K8K | 地デジ・BS/CS・4K8K | 地デジのみ(BS/CSは非推奨) |
ケーブルの太さ | 太い(約7.7mm) | 細い(約6.0mm) | 太い |
信号の強さ | 劣化しにくい | やや劣化しやすい | 劣化しやすい |
取り回しやすさ | △(硬め) | ◎(柔らかい) | △(硬め) |
主な用途 | 長距離配線、分配器使用時 | 部屋の中の短い配線 | 現在では非推奨 |
価格 | やや高め | 標準的 | 安価 |
**結論から言うと、現在新しく購入するなら「S-〇C-FB」と書かれたケーブルがおすすめです。特にこだわりがなければ、あらゆる放送に対応でき、信号劣化にも強い「S-5C-FB」**を選んでおけば間違いありません。
テレビ放送別の推奨ケーブル
視聴したい放送によって、選ぶべきケーブルは変わります。
- 地デジのみ視聴する場合 「4C」または「5C」のケーブルであれば問題なく視聴できます。ただし、将来的にBS/CS放送を見る可能性も考慮し、初めから「S」の付いた衛星放送対応ケーブルを選ぶと安心です。
- 地デジ・BS/CSを視聴する場合 必ず記号の先頭に「S」が付いた**衛星放送対応ケーブル(S-4C-FBやS-5C-FB)**を選んでください。「S」がないケーブルでは、BS/CS放送が正常に映らない可能性があります。
- 4K8K放送を視聴する場合 最も高い周波数帯の電波を使用するため、信号の損失が少ない高性能なケーブルが必要です。「S-5C-FB」規格で、「3224MHz対応」や「4K8K対応」と明記された製品を選びましょう。
太さ(4C・5C)の違いと使い分け
ケーブルの「4C」や「5C」という数字は、ケーブルの太さを示しています。
- 4Cケーブル 直径が約6.0mmと細く、柔らかいため取り回しがしやすいのが特徴です。壁の端子からテレビまでなど、部屋の中の短い距離(5m以内が目安)での配線に向いています。
- 5Cケーブル 直径が約7.7mmと太く、4Cに比べて硬めです。その分、信号の損失(減衰)が少なく、長距離の配線に強いのがメリット。アンテナから各部屋へ配線する場合や、10m以上の長さが必要な場合におすすめです。
内部構造(FB・FV・2V)の違い
ケーブルの末尾にある「FB」や「2V」といった記号は、ケーブルの内部構造と性能を示しています。
- FB(発泡ポリエチレン + アルミ箔テープ + 編組) 現在主流の高性能タイプです。絶縁体に発泡ポリエチレンを使用し、さらにアルミ箔テープで覆うことで、信号の損失を大幅に抑えています。4K8K放送など、高い周波数帯の信号を伝送するのに最適です。
- FV(ポリエチレン + 編組) FBが登場する前に使われていたタイプです。FBに比べると性能は劣りますが、地デジやBS放送の視聴には十分使えます。
- 2V(ポリエチレン + 編組) 旧規格のケーブルです。シールド性能が低く、信号の損失が大きいため、現在のデジタル放送には不向きです。特にBS/CSや4K8K放送では、ノイズが入ったり映らなかったりする原因になるため、もしご自宅でこのケーブルを使っている場合は交換を強くおすすめします。
ケーブル印字の読み方と規格の意味
同軸ケーブルの本体には、「S-5C-FB」のような記号が印字されています。この記号の読み方を知れば、ケーブルの種類を簡単に見分けられます。

ここでは、「S-5C-FB」を例に、それぞれの記号が持つ意味を解説します。
記号「S」は衛星放送対応の証
先頭の**「S」は、BS/CSなどの衛星放送(Satellite)に対応している**ことを示す記号です。
地デジ放送に加えてBS/CS放送や4K8K放送を視聴したい場合は、必ずこの「S」が付いたケーブルを選んでください。「S」がないケーブルは主に地デジ用で、衛星放送の高い周波数の電波をうまく通すことができません。
数字「4C」「5C」はケーブルの太さ
「S」の次に続く**「4C」や「5C」は、ケーブルの太さ(直径)を表す規格**です。数字が大きいほどケーブルは太くなります。
- 4C: 直径が細く、取り回しやすい。
- 5C: 直径が太く、信号が劣化しにくい。
一般的に、太いケーブルほど信号の損失が少ないため性能が良いとされますが、その分硬くて曲げにくくなるため、配線する場所や距離に応じて適切な太さを選ぶことが大切です。
記号「FB」「FV」は内部構造を示す
末尾の**「FB」や「FV」、「2V」は、ケーブル内部の絶縁体やシールドの構造**を表しています。これは信号の伝送性能に直結する重要な部分です。
- FB: 信号の損失が最も少なく、ノイズにも強い高性能タイプ。4K8K放送には必須です。
- FV: FBよりは性能が劣るものの、地デジ・BS放送には使用可能な標準タイプ。
- 2V: 信号の損失が大きい旧規格。現在では使用を推奨されません。
迷ったら「FB」と記載のあるケーブルを選んでおけば、性能面で後悔することはないでしょう。
【状況別】最適な同軸ケーブルの選び方
ここでは、具体的な利用シーンごとに、どの同軸ケーブルを選べば良いかを解説します。
テレビと壁の端子を接続する場合
部屋の壁にあるテレビ端子と、テレビ本体を接続するような短い距離(~5m程度)の配線では、取り回しのしやすい「S-4C-FB」がおすすめです。
ケーブルが細く柔らかいため、テレビの裏や家具の隙間でもスッキリと配線できます。もちろん、4K8K放送にも対応可能です。
長い距離の配線が必要な場合
別の部屋へ配線する場合や、アンテナから直接引き込む場合など、**10mを超えるような長距離の配線には、信号劣化に強い「S-5C-FB」**を選びましょう。
ケーブルが長くなればなるほど信号は弱くなってしまいますが、太い5Cケーブルならその影響を最小限に抑え、安定した映像品質を保つことができます。
分配器・分波器を使用する場合
1つのアンテナ端子から複数のテレビへ信号を分ける**「分配器」や、地デジとBS/CSの信号を分ける「分波器」**を使用すると、信号のレベルが低下します。
この信号のロスを補うためにも、損失の少ない「S-5C-FB」ケーブルの使用が推奨されます。分配数が多いほど信号は弱くなるため、ケーブルはできるだけ高性能なものを選ぶのがポイントです。
適切なケーブルの長さの選び方
ケーブルは長すぎても短すぎてもいけません。
- 長すぎる場合: 信号が劣化する原因になるほか、余ったケーブルが絡まって見栄えも悪くなります。
- 短すぎる場合: テレビの配置を変えたいときに届かなくなってしまいます。
**最適な長さは、「配線に必要な最短距離 + 20~30cm程度の余裕」**と覚えておきましょう。事前にメジャーなどで配線ルートの長さを測っておくと、購入時の失敗を防げます。
同軸ケーブルとは?役割と基本構造
そもそも、同軸ケーブルとはどのようなものなのでしょうか。その役割と構造を簡単に知っておくと、種類による性能の違いも理解しやすくなります。
テレビ信号をノイズから守る役割
同軸ケーブルの最も重要な役割は、アンテナが受信したテレビの放送信号を、品質を落とさずにテレビまで届けることです。
私たちの身の回りには、スマートフォンや電子レンジなど、様々な電波(ノイズ)が飛び交っています。同軸ケーブルは、こうした外部からのノイズがテレビ信号に混入するのを防ぐ「シールド」の役割を果たしています。
信号の劣化を防ぐ内部の仕組み
同軸ケーブルは、中心から順に以下の4層構造になっています。
- 中心導体: 銅線でできており、テレビ信号が通る中心部分。
- 絶縁体: 中心導体を覆うプラスチック。信号が外部に漏れるのを防ぎます。この素材(発泡ポリエチレンなど)が性能を左右します。
- 外部導体(シールド): 絶縁体の外側を覆うアルミ箔や編組線。外部からのノイズの侵入を防ぎます。
- 外部被覆(シース): ケーブル全体を保護する最も外側のビニール部分。
この多重構造によって、大切なテレビ信号がノイズの影響を受けずに、安定してテレビまで届けられるのです。「FB」規格のケーブルが高い性能を持つのは、絶縁体の素材やシールド構造がより優れているためです。
コネクタ(端子)の種類と選び方
ケーブル本体だけでなく、両端についている**コネクタ(プラグ)**の形状もチェックしておきましょう。主に3つのタイプがあります。
F型プラグ(ストレート型)
ネジ切りが付いている、最も一般的なタイプです。壁の端子やテレビにねじ込んで固定するため、しっかりと接続でき、抜けにくいのがメリットです。迷ったらこのタイプを選べば問題ありません。
L型プラグ
プラグ部分がL字に曲がっているタイプです。テレビの裏側など、壁との隙間が狭い場所でケーブルが折れ曲がってしまうのを防ぎたい場合に便利です。片側がストレート、もう片側がL字になったケーブルも多く販売されています。
プッシュ式プラグ
ネジ切りがなく、差し込むだけで接続できるタイプです。手軽に抜き差しできるのが利点ですが、F型に比べると抜けやすい可能性があるため、頻繁に抜き差ししない場所であればF型プラグの方が安心です。

同軸ケーブルに関するよくある質問
最後に、同軸ケーブルに関してよく寄せられる質問にお答えします。
4K8K放送に対応するケーブルはどれ?
A. 「S-〇C-FB」規格で、「3224MHz対応」と明記されたケーブルを選んでください。
4K8K放送は、従来の放送よりもはるかに高い周波数帯(~3224MHz)の電波を使います。この高い周波数の信号をロスなく伝送するには、高性能なケーブルが不可欠です。パッケージや商品説明に**「4K8K対応」や「3224MHz対応」**と書かれている製品を選ぶのが最も確実です。特に長距離の配線では「S-5C-FB」がおすすめです。
ケーブル交換でテレビの映りは改善する?
A. はい、改善する可能性は十分にあります。
特に、以下のようなケースではケーブル交換による画質改善が期待できます。
- 「5C-2V」など古い規格のケーブルを使っている
- ケーブルが折れ曲がっていたり、傷が付いていたりする
- BS/CS放送でブロックノイズが頻繁に出る
ただし、アンテナの向きがずれている、電波が弱い地域であるなど、ケーブル以外に原因がある場合は改善しないこともあります。まずは手軽に試せる対策として、ケーブルの見直しから始めてみるのが良いでしょう。
古い規格のケーブル(5C-2V)は使える?
A. 地デジ放送だけなら映ることもありますが、交換を強く推奨します。
「2V」規格のケーブルはシールド性能が低く、信号の損失が大きいため、現在のデジタル放送には適していません。特に、高い周波数を使うBS/CS放送や4K8K放送では、ノイズの発生や受信不良の直接的な原因となります。安定した視聴環境のためにも、現在の主流である「FB」規格のケーブルへ交換しましょう。
ケーブルが太いほど性能は良い?
A. 基本的にはその通りですが、常に太い方が良いとは限りません。
太いケーブル(5C)は、信号の損失が少ないため長距離の伝送性能に優れています。 一方で、細いケーブル(4C)は、短い距離であれば性能差はほとんどなく、取り回しがしやすいという大きなメリットがあります。
「長距離や分配器を使うなら5C、部屋の中の短い配線なら4C」というように、用途に応じて最適な太さを選ぶのが賢い選択です。
まとめ
今回は、テレビ用の同軸ケーブルの種類と選び方について詳しく解説しました。最後に、この記事の重要なポイントを振り返りましょう。
- ケーブル選びの基本 迷ったら、あらゆる放送に対応できる**「S-5C-FB」か、取り回しやすい「S-4C-FB」**を選びましょう。
- 記号の意味 「S」は衛星放送対応、「5C/4C」は太さ、「FB」は高性能な内部構造を示します。
- 4K8K放送を見たい場合 「S-〇C-FB」規格で、パッケージに**「4K8K対応」「3224MHz対応」**と書かれた製品が必須です。
- 古い「2V」ケーブルは交換推奨 画質が不安定な場合、古いケーブルが原因かもしれません。早めに「FB」規格のものへ交換しましょう。
ケーブルに書かれた記号の意味が分かれば、もう製品選びで迷うことはありません。ご自宅の環境と見たい放送に合わせて最適な一本を選び、高画質な映像を心ゆくまで楽しんでください。