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【図解】LED蛍光灯交換の注意点|工事不要か簡単に見分ける方法

「最近、蛍光灯がチカチカする…」「電気代を節約したいから、そろそろLEDに交換しようかな?」

このようにお考えではありませんか? 蛍光灯からLEDへの交換は、省エネや長寿命化といったメリットが多く、ご家庭やオフィスの節電対策として非常に効果的です。

しかし、いざ交換しようとすると、「"工事不要"って書いてあるけど、うちの照明器具でも本当に大丈夫?」「間違った方法で交換して、火事になったりしないか不安…」といった疑問や不安が出てきますよね。

ご安心ください。この記事では、電気の専門知識がない方でも、ご自宅の蛍光灯が工事不要で交換できるか簡単に見分ける方法から、安全な交換手順、失敗しないLED製品の選び方まで、図解をイメージしながら分かりやすく解説します。

この記事を読めば、LED蛍光灯への交換に関する不安が解消され、安全かつ確実に交換作業を進められるようになります。

まず確認!工事不要で交換できるかの見分け方

LED蛍光灯への交換で最も重要なのが、今お使いの照明器具の「点灯方式」を確認することです。点灯方式によって、工事不要で簡単に交換できるか、専門業者による電気工事が必要になるかが決まります。

点灯方式が分からないまま間違ったLED蛍光灯を取り付けると、点灯しないだけでなく、故障や火災の原因になる可能性があり非常に危険です。まずは、ご自宅の照明器具がどのタイプか、しっかり見分けましょう。

蛍光灯器具の3つの点灯方式

蛍光灯の点灯方式には、主に以下の3種類があります。

  • グロースターター式: 最も古いタイプ。点灯管(グロー球)を使う。
  • ラピッドスタート式: グロー球が不要なタイプ。少し前の施設照明などで多い。
  • インバーター(HF)式: 現在主流のタイプ。高周波で瞬時に点灯し、チラつきが少ない。

この中で、原則として工事不要で交換できるのは「グロースターター式」のみです。それでは、それぞれの見分け方を具体的に見ていきましょう。

グロースターター式の見分け方(グロー球の有無)

最も簡単に見分けられるのがグロースターター式です。

見分ける最大のポイントは、「グロー球(点灯管)」という小さな部品があるかどうかです。照明カバーを外し、蛍光灯の根本あたりに、1円玉くらいの大きさの小さな円筒形の部品があれば、それはグロースターター式です。

  • 特徴1:グロー球がある 蛍光灯の近くに、取り外し可能な小さな「グロー球」が設置されています。
  • 特徴2:点灯が遅い スイッチを入れると、数回チカチカと点滅してから明かりが灯ります。

このタイプであれば、市販の「グロースターター式対応」や「工事不要」と書かれたLED蛍光灯を選び、グロー球を外すだけで簡単に交換できます。

ラピッドスタート式の見分け方(型番・重量)

グロー球が見当たらない場合、ラピッドスタート式かインバーター式の可能性があります。

ラピッドスタート式は、照明器具本体に貼られている銘板(シール)の型番で判別できます。

  • 特徴1:型番に「R」が含まれる 器具の型番表記に「FLR」(直管)や「FR」(丸形)のように「R」の文字が入っています。(例:FLR40S・W/M/36)
  • 特徴2:スイッチオンで比較的すぐに点灯する グロースターター式のような点滅はありませんが、インバーター式よりはわずかに遅れて点灯します。
  • 特徴3:器具が重い 内部に大きな安定器が入っているため、インバーター式に比べて器具が重い傾向にあります。

ラピッドスタート式の場合、LEDに交換するには安定器を取り外す「バイパス工事」が原則として必要です。

インバーター(HF)式の見分け方(型番・点滅)

グロー球がなく、比較的新しい照明器具の場合はインバーター式の可能性が高いです。

こちらも照明器具の型番で判別するのが最も確実です。

  • 特徴1:型番に「H」が含まれる 器具の型番表記に「FHF」や「Hf」のように「H」の文字が入っています。(例:FHF32EX-N-H)
  • 特徴2:瞬時に点灯し、チラつきがない スイッチを入れるとすぐにパッと点灯し、目のちらつきを感じにくいのが特徴です。
  • 特徴3:器具が軽い 内部の安定器が小型・軽量なため、器具全体が軽い傾向にあります。

インバーター式も、LEDに交換するには原則として「バイパス工事」が必要です。一部「インバーター式対応」を謳うLED製品もありますが、器具との相性問題で不点灯や故障が起きやすいため、確実性を求めるなら工事をおすすめします。

点灯方式別!LED蛍光灯への交換方法と手順

ご自宅の照明器具の点灯方式が分かったら、いよいよ交換です。ここでは、方式別の正しい交換手順を解説します。

工事不要なグロースターター式の交換手順

グロースターター式は、以下の手順で誰でも簡単に交換できます。

  1. 必ず照明のスイッチを切り、ブレーカーを落とす 安全のため、作業前には必ず電源を遮断してください。感電防止の基本です。
  2. 古い蛍光灯を取り外す 直管蛍光灯は、90度回転させてソケットから引き抜きます。
  3. グロー球(点灯管)を取り外す **この作業が最も重要です。**グロー球を付けたままLED蛍光灯を使用すると、故障や火災の原因になります。グロー球は、少し押しながら左に回すと外れます。
  4. 新しいLED蛍光灯を取り付ける ソケットにしっかりと差し込み、固定します。
  5. ブレーカーを戻し、スイッチを入れて点灯確認 問題なく点灯すれば作業完了です。

工事が必要なラピッド・インバーター式の交換

ラピッドスタート式やインバーター式の照明器具をLED化する場合、専門の電気工事士による「安定器バイパス工事」が必要です。

この工事は、照明器具の内部配線を変更する専門的な作業です。知識がないまま行うと、感電や火災のリスクが非常に高いため、絶対に自分でやろうとせず、必ずプロの電気工事業者に依頼してください。

安定器バイパス工事とは?なぜ必要か解説

安定器とは、蛍光灯に流れる電流を安定させ、正常に点灯させるために不可欠な装置です。しかし、LED蛍光灯はこの安定器を必要としません。

安定器バイパス工事とは、この不要な安定器を電気回路から切り離し、LED蛍光灯が直接電源に接続されるように配線を変更する工事のことです。

この工事が必要な理由は以下の通りです。

  • 安全性の確保 安定器が残ったままだと、過剰な電流が流れてLEDが故障したり、最悪の場合、発熱して火災に至る危険性があります。
  • 省エネ効果の最大化 安定器自体も電力を消費するため、取り外さないと本来のLEDの省エネ性能を十分に発揮できません。
  • LEDの長寿命化 安定器の劣化がLED蛍光灯の寿命を縮める原因になるため、取り除くことで製品本来の寿命を保てます。

自分で工事するリスクと電気工事士資格の要否

安定器バイパス工事は、電気配線を直接触るため**「電気工事士」の国家資格が法律で義務付けられています。**

無資格者がこの工事を行うことは法律違反であり、罰則の対象となります。それ以上に、以下のような深刻なリスクを伴います。

  • 感電事故: 作業中に感電し、重傷を負う危険性があります。
  • 火災の発生: 配線ミスによるショートが原因で、火災を引き起こす恐れがあります。
  • 照明器具の故障: 器具やLED蛍光灯そのものを破損させてしまいます。

安全のため、バイパス工事は必ず資格を持つ電気工事業者やリフォーム会社に依頼しましょう。

失敗しないLED蛍光灯の選び方3つのポイント

交換方法がわかったら、次は製品選びです。以下の3つのポイントを押さえて、ご自宅にぴったりのLED蛍光灯を選びましょう。

ポイント1:蛍光灯の形状とサイズを確認

まずは、現在お使いの蛍光灯と同じ形状とサイズのものを選びます。

  • 直管蛍光灯 オフィスやキッチンでよく使われる棒状のタイプ。「20形」「40形」といった「形(ワット形)」で呼ばれますが、これは長さの目安です。必ず実際の長さ(mm)を確認して、同じ長さの製品を選びましょう。(例:40形は約120cm)
  • 丸型蛍光灯(サークライン) 和室やリビングの照明で使われる円形のタイプ。「30形」「32形」などがあり、外径や管の太さを確認します。
  • ツイン蛍光灯(コンパクト蛍光灯) ダウンライトなどで使われる小型のタイプ。口金の形状が複雑なため、「FPL」「FDL」といった型番を正確に確認し、適合する製品を選ぶ必要があります。

ポイント2:明るさの単位(ルーメン)を選ぶ

LEDの明るさは、消費電力のワット(W)ではなく**「ルーメン(lm)」**という単位で表されます。数値が大きいほど明るくなります。

今使っている蛍光灯と同等か、少し明るめのルーメン値を選ぶのが基本です。製品パッケージに「蛍光灯40W形相当」といった記載があるので、それを参考にしましょう。

  • リビング・ダイニング: 部屋全体を明るく照らすため、1畳あたり400~500lmが目安です。
  • 書斎・勉強部屋: 文字を読み書きするため、少し明るめの1畳あたり500~600lmがおすすめです。
  • 寝室: リラックスできる空間にするため、少し暗めの1畳あたり300~400lmが適しています。

ポイント3:光の色(昼光色・昼白色・電球色)を選ぶ

LEDの光には様々な色合いがあり、部屋の雰囲気や用途に合わせて選べます。

  • 昼光色(クール色) 青みがかった白くクリアな光。脳を覚醒させる効果があると言われ、集中したい書斎や勉強部屋、細かい作業をするキッチンに向いています。
  • 昼白色(ナチュラル色) 太陽の光に最も近い自然な光。どんな部屋にも馴染みやすく、**リビングやダイニングなど、場所を選ばず使えます。**色選びに迷ったら、まず昼白色を選ぶのがおすすめです。
  • 電球色(ウォーム色) オレンジ色がかった暖かみのある光。リラックス効果が高く、くつろぎたい寝室や、料理を美味しく見せたいダイニングに最適です。

形状別の交換注意点(丸型・ツイン蛍光灯)

直管蛍光灯以外にも、丸型やツイン蛍光灯をLEDに交換する際の特有の注意点があります。

丸型蛍光灯(サークライン)をLEDに交換

丸型蛍光灯も、**グロースターター式であれば工事不要で交換できるLED製品があります。**交換手順も直管型と同じで、グロー球を外して付け替えるだけです。

ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 製品の種類が少ない: 直管型に比べて、対応するLED製品の種類が限られます。
  • 相性問題: 器具との相性によっては、チラつきなどが発生する場合があります。

もし適切なLED製品が見つからない場合や、照明器具自体が古い場合は、器具ごと新しい「LEDシーリングライト」に交換するのも非常に有効な選択肢です。取り付けも簡単で、調光・調色機能が付いた高機能なモデルも多くあります。

ツイン蛍光灯(コンパクト蛍光灯)をLEDに交換

ダウンライトやデスクスタンドによく使われるツイン蛍光灯(コンパクト蛍光灯)は、交換の難易度が少し高めです。

  • 口金(ソケット)の形状が複雑 「FPL」「FDL」「FHT」など、ピンの数や形状が異なる様々な規格があります。必ず元の蛍光灯に記載されている型番を確認し、完全に一致するLED製品を選んでください。
  • バイパス工事が必要な場合が多い ツイン蛍光灯が使われている器具は、その多くが安定器を内蔵したラピッド式やインバーター式です。そのため、安全にLED化するにはバイパス工事が必要になるケースがほとんどです。

自分で判断が難しい場合は、無理せず電気工事業者に相談することをおすすめします。

交換のリスクと確認事項

安全にLED化を進めるために、リスクと交換する際の確認事項についても知っておきましょう。

不適合な製品使用による火災・故障のリスク

繰り返しになりますが、点灯方式に適合しないLED蛍光灯の使用は絶対にやめてください。

「少し安いから」「よくわからないけど、たぶん大丈夫だろう」といった安易な判断が、LEDや照明器具の故障、発煙、そして最悪の場合は火災といった深刻な事故につながる危険性があります。製品の取扱説明書をよく読み、適合する器具であることを必ず確認してください。

賃貸物件で交換する際の確認事項

賃貸マンションやアパートでLED交換を行う場合は、注意が必要です。

照明器具は部屋の設備の一部であり、所有者は大家さんや管理会社です。そのため、安定器バイパス工事のように器具の改造が必要な場合は、必ず事前に大家さんや管理会社に連絡し、許可を得る必要があります。

無断で工事を行うと、退去時に原状回復費用を請求される可能性があります。工事不要の交換であっても、取り外した元の蛍光灯とグロー球は、退去時のために必ず保管しておきましょう。

LED蛍光灯交換に関するよくある質問

最後に、LED蛍光灯の交換に関してよく寄せられる質問にお答えします。

交換後にチカチカする原因と対処法は?

A. 主な原因は「LEDと照明器具の相性」または「安定器の劣化」です。

工事不要タイプのLEDに交換した場合、照明器具に残っている安定器との相性が悪いとチラつき(フリッカー)が発生することがあります。また、安定器自体が寿命末期で劣化している場合も同様の症状が出ます。

対処法としては、一度別のメーカーのLED製品を試してみるか、根本的な解決策として専門業者に依頼して安定器バイパス工事を行うのが最も確実です。

片側給電と両側給電の違いは?

A. LED蛍光灯への電気の供給方式の違いです。

片側給電は、蛍光灯の両端にあるソケットのうち、片側だけで電気を受け取る方式です。一方、両側給電は、両方のソケットから電気を受け取ります。

これは主にバイパス工事を行う際に重要になる点で、**照明器具の配線方式に合った給電方式のLEDを選ばないと、ショートや故障の原因となり大変危険です。**工事不要タイプの場合はあまり気にする必要はありませんが、製品を選ぶ際は念のため仕様を確認しておくとより安心です。

交換した古い蛍光灯の処分方法は?

A. 蛍光灯には微量の水銀が含まれているため、一般の不燃ごみとして捨てることはできません。

処分の際は、お住まいの自治体が定める「有害ごみ」「危険ごみ」などの分別ルールに従って、指定された収集日に出してください。

また、地域の家電量販店やホームセンター、一部のスーパーマーケットなどに設置されている専用の回収ボックスを利用して処分することもできます。

まとめ

今回は、LED蛍光灯へ交換する際の注意点について、網羅的に解説しました。最後に、安全に交換するための重要なポイントを振り返りましょう。

  • 最重要:まず照明器具の「点灯方式」を確認する
    • グロー球があれば「グロースターター式」 → 工事不要で交換OK!
    • グロー球がなければ「ラピッド式」か「インバーター式」 → 原則、専門業者によるバイパス工事が必要!
  • グロースターター式の交換手順
    • 必ず電源を切り、古い蛍光灯と**「グロー球」の両方を外してから**新しいLEDを取り付ける。
  • 工事が必要な場合
    • 安定器バイパス工事は**「電気工事士」の資格が必要**なため、絶対にDIYせずプロに依頼する。
  • 製品選びのポイント
    • 元の蛍光灯と**同じ「形状・サイズ」**を選ぶ。
    • 明るさは**「ルーメン(lm)」**、光の色は部屋の用途に合わせて選ぶ。
  • 賃貸物件の場合
    • 工事を行う前には、必ず大家さんや管理会社の許可を取る。

蛍光灯のLED化は、正しく行えば電気代の節約になり、交換の手間も減るなどメリットの大きい選択です。この記事を参考に、ぜひ安全第一でご自宅の照明環境をアップグレードしてください。

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