海外への出張や旅行中にデジタル機器を使用する際、コンセントのプラグの形や電圧の違いが原因でうまく作動しなかったり充電できなかったりする場合があります。スムーズにデバイスが使えないと、仕事もプライベートも困ることが多いでしょう。 そこで活躍するのが変圧器です。さまざまな種類があるため、今回は変圧器の特徴や仕組み、種類や選び方のポイントについてご紹介します。購入を検討している方は最後までご覧ください。

変圧器とは

電圧を上げたり下げたりできる機械を変圧器といい、発電所で作った電気を効率よく安全に各施設や各家庭に送るために用いられます。 海外用の変圧器や電柱の上の箱のような設備は、身近に使われている変圧器の代表です。役割や仕組みについて、詳しく見ていきましょう。

変圧器の役割

発電所で作る電気は高い電圧を持つため、施設や家庭ではそのまま使えません。一般の家庭では100V、工場や施設では6,600Vというように、それぞれの場所に対応できる電圧に調整する必要があります。そこで必要になるのが変圧器です。各場所で最適になるように降圧させたり昇圧させたりすることで、安全に電気が使えるようになります。

そもそも発電所から、各場所に適した電圧で送ればよいと思う人もいるでしょう。しかし、送電中は送電線の抵抗や電流の多さなど、さまざまな原因で電力がロスしやすいのです。

電圧を上げることで電流を少なくできれば、電力のロスを減らせます。無駄なく効率的に電気を届け、各場所において最適な状態で使えるように調整するのが大きな役割です。私たちの生活に欠かせない、電力供給インフラの中核的な存在だといえるでしょう。

扱う電圧のレベルに応じて超高圧・特高変圧・高圧の3種類があり、設置場所や用途に応じて使い分けされます。パソコンやスマートフォンなどに使用されるACアダプターは、変圧器が内蔵されている身近なデジタル機器です。各デバイスに最適な電圧に変換して供給することで、デバイスが動くようになります。

変圧器の仕組み

入力側である一次コイルに交流電気が流れると、鉄心に磁束が生じます。磁束が鉄心を通して二次コイルに交わり、ファラデーの法則にしたがって電圧が発生します。鉄束を介して伝わる磁束の変化によって、電圧が生み出されるという原理です。

電圧の変換には一次・二次コイルの巻き数が関与しています。たとえば一次コイルが巻き数1,000・電圧1,000Vで二次コイルが巻き数100ならば、100Vの電圧が生じるという仕組みです。比率を変えることで自由自在に電圧を調整できるため、巻き数は重要な役割を担っているといえるでしょう。二次コイルに電圧が誘導されると再度交流電流に変えて出力され、各場所で最適な電圧の電気として使えるようになるのです。

変圧器の種類

機能や構造、用途によってさまざまな種類があるため、それぞれの特徴について解説していきます。いずれも、発電所から電気を安全かつ効率的に供給したり生活するうえで, 電気を便利に使ったりするのに必要不可欠です。

ダウントランス(降圧変圧器)

名前の通りダウントランスとは電圧を低くするもので、家庭などで安全に使える低電圧に変えるために使われます。また、海外出張・旅行の際にも便利です。

海外では電源の電圧が日本よりも高く、国内で使っているデジタル機器などをそのままの状態で使用するとショートするおそれがあります。しかし、ダウントランスを使えば日本の製品が対応できる電圧まで下げられるため、国内から持参したものを使うことが可能です。現地調達しなくて済む点や、使い慣れたデジタル機器や電気製品を使える点が大きなメリットだといえます。海外への出張や旅行が多い人はダウントランスを持っていると、生活利便性が高くなるでしょう。

アップトランス(昇圧変圧器)

アップトランスは、低い電圧から高い電圧に変換するために使うものです。発電所からの送電を効率よく行うためには電圧を上げる必要があり、アップトランスの存在が欠かせません。

また、太陽光発電で作られた電気を電力会社の系統に直結して売電する場合や、工場・大規模商業施設に送電する場合などにも昇圧が必要であり、アップトランスが活躍します。海外のデジタル機器や電気製品を使う際にも便利です。 海外の製品を日本で使う場合は電圧が足りないため、昇圧しなければなりません。海外から輸入した製品を日本で使いたい場合や外国人が日本に長期滞在する場合など、日常生活上でもアップトランスは役立ちます。

トランス式変圧器

本体に組み込まれているコイルによって変圧するものが、トランス式タイプの変圧器です。容量が大きいと相当量のコイルが必要になるため、大きくて重くなります。 構造がシンプルであり、容量をオーバーしない限りはパソコンやスマートフォン、電動歯ブラシなど大半のデバイス・電気製品の使用が可能です。

電子式変圧器

電子回路を使って通電する量をコントロールし、一定の電圧に調節するタイプを電子式変圧器といいます。電子式は軽量でコンパクトであり、容量が大きいのが特徴です。

トランス式よりも便利なように感じますが、半導体や液晶パネル、赤外線センサー、デジタルモーターといった精密電子部品が内蔵されたものを正常に変圧することはできません。設計構造の関係から、電圧自体を変化させているわけではなく、通電量のコントロールによって表面的に電圧を調節しているからです。

シンプルな電気製品に限り、使用できます。具体的には、デジタルモーターが付いていないドライヤーや電気コンロ、お湯を沸かす機能だけの電気ケトル、ホットプレート、オーブントースターなどです。

カメラやパソコン、炊飯器、空気清浄機など日常的によく使う家電やデバイスをはじめ、IH式や温度調整・調光機能付きの製品には使用できません。仮に使用してしまった場合は、変圧器・電気製品の両方が壊れる可能性があるため注意が必要です。デジタル式で利便性が高い製品ほど、使えない可能性があります。ものによってトランス式をチョイスするなど、臨機応変な使い方が求められるでしょう。

変圧器の選び方

さまざまなタイプの変圧器が存在していますが、何を基準に選べばよいのでしょうか。ベストなものを入手するために、選び方のポイントを4つご紹介します。

目的地の電圧と周波数を確認

まずは、訪問先の電圧・周波数をチェックすることから始めましょう。それぞれ地域や国によって異なるからです。

たとえば日本では、関東では50Hzである一方、関西は60Hzと周波数に地域差がみられます。日本の電気製品の多くは、50Hzにも60Hzにも対応しているケースが多いです。

しかし、海外ではどちらか一方の周波数しかなかったり製品自体も50Hzだけに対応・60Hzだけに対応という仕様だったりします。当然のことながら、50Hzのみに対応している製品を、60Hzの地域で正常に使うことはできません。変圧器は周波数まで変換できないため、旅先で機器が正常に作動しない、あるいは充電できないなど重大なトラブルを起こさないよう、事前に訪問先の情報を調べておくことが大切です。

使用する電気製品の消費電力を確認

使用予定の製品に記載されている消費電力を確認しましょう。消費する電力が容量を上回らないように使わなければなりません。

30分以上続けて製品を使う場合は、消費する電力が1.25倍と大きくなるため、容量に余裕をもって変圧器を選ぶ必要があります。多くの場合、本体に「500W」など記載があります。記載がない場合は、電圧に電流を乗じると消費電力になるため計算してみてください。

モーターが付いていない電気製品では変圧器の容量の8割を目安に、付いている場合は容量の3割を目安として、消費電力が容量を上回らないように使用しましょう。消費電力は、あくまで目安ですがノートパソコンで50~120W、ドライヤーが600~1200W、ヘアアイロンが90~850Wとなっています。必ず、実際に使用する予定の電気製品をチェックするようにしてください。

使用目的に合った変圧器を選ぶ

パソコンや充電器など、精密電子部品が内蔵されたものを使うならトランス式、デジタルモーターが付いていないドライヤーや電子ケトルなどは電子式にするなど、使用目的に合わせて選びましょう。旅行や短期間の海外出張であればコンパクトなタイプが適しており、洗濯機や電子レンジなど、大型の家電を使う場合は大容量の変圧器が必要です。また、たとえば日本製のドライヤーを海外で使うのであればアップトランスが必要であり、海外製の電子機器を日本で使うのであればダウントランスを用意しなければなりません。あらかじめ使用目的を明確にして、相応しい変圧器を選ぶことで安全かつ効率的に電気製品を使えるでしょう。

プラグ形状に応じて変換アダプターを用意する

変換アダプターは、プラグ形状の違いを解消するための便利なツールです。日本では電源プラグはAタイプが一般的ですが、海外では国ごとに異なる形状が使われています。

例として、イギリスの場合では電源プラグの多くがBFタイプであり、日本製品のダウントランスはCタイプが多いため、変換アダプターで形状を調整しなければなりません。宮地電機株式会社の「電材ネット」は、変圧器や変換アダプターなどの電設機材を10万点以上取り扱う通販サイトです。業界に特化した豊富な品揃えが特徴で、ニーズに合った製品を見つけやすくなっています。個人で使うものから工事現場に必要なものまで、幅広いアイテムを用意しているため、気になる方は公式サイトからご注文ください。

こちらの記事では、コンセントの種類について解説しています。家庭用と業務用の違いやトラブルの防止方法も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

コンセントの種類とは?家庭用と業務用の違いとトラブルの防止方法を紹介

コンセントには、さまざまな種類があり、形状や電圧が異なります。本記事では、家庭用と業務用で異なるコンセントの種類やその違い、またコンセントトラブルの防止方法について解説します。

まとめ

変圧器は電圧を調整する機械で、使用する電気製品に適した電圧にするために用いられます。さまざまなタイプがあり、使用する電気製品の消費電力や使用する地域・国、目的に合わせて選ばなければなりません。

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